設立趣意書
近年の社会及び経済の変化に伴い、我が国においては、生活水準の向上と価値観の多様化がより一層進展するとともに、消費活動及び内需拡大策などにより事業の活発化が顕著になっており、全国的に廃棄物の量の増大と質の変化がみられるところです。
札幌市においても、昨今の廃棄物の急増及び技術的、採算的に民間での適正処理が困難な廃棄物の存在などから、不適正処理を引き起こす要因がみられるところであり、このことは、札幌市における廃棄物の安定的かつ継続的な適正処理を維持するうえでの大きな問題となっています。
特に、事業系廃棄物については、原則として排出する事業者にその処理責任が課せられておりますので、
(1)市で処理している事業系廃棄物については、市以外の処理機関にその処理を委ねる
(2)適正処理が困難な廃棄物について処理体制の整備促進を図る
などにより、事業者処理責任を完遂することが最も望ましいものですが、民間企業が独自でこれらの事業系廃棄物を処理することは採算がとれないなどの課題があり、将来的にも困難な状況が予想されます。
このため、札幌市は事業者処理責任に基づく事業系廃棄物の適正処理をより具体的に推進することといたしました。
すなわち、札幌市が主体となって民間企業団体とともに財団法人札幌市環境事業公社を設立し、
(3)事業系廃棄物等の適正、効率的な処理を図る
(4)事業系廃棄物等の適正処理、資源化等に関する調査、研究、技術開発等を行うとともに、率先しての成果を具体的に実用化する
ことなどを通して、本市において、事業系廃棄物の適正処理ができる体制の整備を促進する先導的役割を果たしていくことにより、事業者処理責任の完遂をめざすものであります。
あわせて、将来において、益々多様化すると予想される廃棄物処理行政の各分野について補完的役割を担っていくことを通して、札幌市における廃棄物の適正な処理を維持して、より一層住民の快適な環境の確保を図り、もって公共の福祉の増進に寄与しようとするものです。
平成2年4月1日